部活の「同期」とAスペクトラムの私

中学からやってきた吹奏楽部生活に幕が降りた。これでもう、唇の調子を気にしてリップを買い続ける生活をしなくていいと思うと気が楽。それで、思うことがある。「吹奏楽」というでっかい存在には文句がめちゃくちゃあるけど、それは一旦置いといて、「同期」という関係について。

部活の同期って、友達でも仲間でも無くて、「同期」なんだよな〜という気持ち。特別外で会って遊びに行くことも無く、ご飯食べに行こうも無く、お互いの交友関係に興味が無い関係。私にとってはそれが凄く心地良かったんだなって。

互いに対する興味が大して無くて、毎日LINEする訳でもなくて、なんて言えばいいのか難しいけど、ある意味互いに対して無責任でありつつ、最も信頼している関係だなって。そんな関係だからこそ、話せることがあって、力になれることがあって、ストレスが無かった。友達にだと言えないことも同期になら言えた。余りにも長い時間を会って過ごしたから、互いのことを分かりすぎていて、自分のことが分かられているという安心感もあった。

いつ行っても同じ人が同じように居る。喧嘩もしない。全員が一定の「同期」という距離を超えてこようとしない。そんな安心感もあったからだろう。

 

私は自分が思っていたよりもハグをすることが好きだったんだな、と思う。

マジで部活のこと以外でLINEもDMもしない、部活でしか会わない、でも会ったら沢山愚痴を言い合って、何気なくハグをする関係の人が1人居た。文面にしたら奇妙な関係だけど、自分から連絡を取る友達の数が片手に収まる人生を生きてきた私にとって、その距離感はすごくすごく貴重なありがたいものだったと。その子の深くを全て知っていたなんてことはさらさら無いし、家族のことも悩みも喋ったことはあるけど覚えてないと思う。その時自分が話したいことをお互いにペラペラ喋って、疲れたねってハグしあって、本当にそれ以上もそれ以下も無い関係。自分が話したことがその子以外に伝わることを危惧しなくてよかった(これって結構凄いこと)。自分が話したくないことは話さなくて良かった。無言で過ぎる時間が苦しくなかった。毎日必ず喋らなくても良かった。互いが互いにとって都合が良かった。

 

私たちはきっと、同期じゃなかったら話してないと思う。「同期」という関係はとても私に合っていて、丁度いいんだな〜。私は、人と毎日連絡を取るのが苦手。LINEが来ても、相当歴の長い友達か家族からであっても即レスはしない(できない)。通知を見ることが苦痛で、全部のLINEの通知は切ってるし、この世の人達が毎日毎日何をそんなに他人に送って会話してるのかが知りたいと常に思ってる。

あと、今のところ私の人生に"恋愛"が無いから、他人の恋愛相談にはいくらでも乗るけど、自分には全くないから求められてもどうにもならない。そもそも会話も苦手だし、1人でいることが苦痛じゃないの。だから、一定の距離感は常に保ちたくて、毎日連絡し合うのも割と無理な私にとって部活の同期ほどストレスフリーな関係があっただろうか。

 

同時に、この関係って作るの本当に本当に難しいんだろうな、とも思う。Twitterの相互に近い感じ。話したいことがあるときに話してハグしたい時にハグするような、常に一定の距離感が保たれていると共に、"いつもいる"安心感と、いつも遊びに行く友達よりも何処か信用している感覚。今書いててすごい腑に落ちてきた。なんで私が同期の関係が心地よかったかって、部活の同期の関係がTwitterの相互とやりとりする感覚に似てるからかも。そうか、そう思うとより有難いな。Twitterの相互と隣の家に住むみたいな感じだもんな。これ、めっちゃ私が求めてた(求めてる)関係では!?!?なにせ私、老後は友人と隣の家に住んで阿佐ヶ谷姉妹やりたい党所属なので....................

 

そして、私はAスペクトラムの中の人間だ。(Aroっぽいな〜とは思いつつも、今はAceしか断言できないのでAスペクトラムの中にいるんだと言っています)だから、恋愛の話をしなくても関係が続けられていたことも良かった。私の人生上、恋愛の話で深まったり保たれる関係性が一定の場合で(仕方なく)あると思ってて。自然と恋愛の話をしずに仲良くなって、楽しく話せて、たまにどっちかが「まって、一旦ハグしていい?」(この言葉いつも自然に言ってたんだけど、ちゃんと同意とってるやん 当たり前だけど)って言って何の気なしにハグする関係って希少じゃね?部活終わるまで気づかなかったけどクソ理想的じゃん.........

 

追記すると、この「同期」の関係は、私が所属していたのが吹奏楽部だからということも関わってきそうだと思ってる。(ここから話す吹奏楽部についての所感はあくまで私の経験した一例にすぎず、強豪校かとか地域性とかで変わってくると思う)

吹奏楽部って、わりとしっかり縦社会で、「先輩」「後輩」「同期」のくくりがはっきりしていて、かつ30〜50人の大所帯で活動する部活だ。そして、部活の日数がめちゃめちゃ多い。だから、ほぼ毎日顔を合わせることになるし、学校までの行き帰りも一緒にならざるを得ない。また、私の学校の吹奏楽部は生徒の自治性が強かった。学校の顧問は、保護者への連絡や大会・お金関係だけで、特に何もしてない。練習の方針や吹く曲、予定を組んで連絡して話し合いをするのも練習に関することはほぼ全て生徒たちで行う。そのため、結果的に腹を割って話すしかなく、気まずいまま卒部するのは無理に近い。こういう吹奏楽部の特異性があってこそ、出来た関係かもしれない。吹奏楽、文句は沢山あるけど、やってよかったのかもな〜〜〜